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執筆者の写真Dr.Klaus Schlichtmann

皆さんの助力が必要なのです。

更新日:2023年2月9日


これは緊急の呼びかけです。 2014年にオスロ平和研究所(PRIO)は日本国民の9条を応援する運動をノーベル平和賞の有力候補のひとつにリストアップしました。しかし、選考委員会は、その努力に共感を示しながらも、一国の全市民に賞を授与することは不可能であるとの見解を示しました。その結果、推薦は却下されました。その時以来、9条を支持する個人や団体への推薦がいくつか相次ぎました。そのために何百万という署名を集めた家庭の主婦もおりました。2017年9条を支援する新しい組織が日高市に住む政治学者 大森美紀彦氏と同氏に居住するドイツ人クラウス・シルヒトマン氏によって創設されました。SA9キャンペーンです。SA9キャンペーンは9条を国際社会に提起された動議と解釈し、9条が国連総会の場で平和を愛する国々によって支持されることを求めています。そのことによって、諸国は、国連がかつて実現したことのない真の集団安全保障体制を実現するための段階をたどり、包括的で完全な軍縮を引き寄せるきっかけをつかむことができます。言うまでもないことですが、真の集団安全保障体制は諸国が(日本がかつておこなったように)国家主権の制限に合意し、「国際の平和と安全を維持する第一次的な責任を国連安全保障理事会に委託」(国連憲章24条)し、国連憲章に定めのある「過渡期」の施策を実施するときにのみ実現します。こうした過程を始動させるために、皆さんの助力が必要なのです。 キャンペーンの設立趣意書等にも書き記してきた上の運動方針が、単に9条を保存するだけでなく、正義と秩序に基づく国際平和を引き寄せるためにもっとも実効的な道であるとわたしたちは信じています。それは、幣原喜重郎の言葉を借りれば、他の諸国を世界の平和と軍縮を実現するために「同じ旗印のもとで行進」させることになります。マッカーサーもまた9条が「唯一の道を指し示している」と語りました。1945年にサンフランシスコ国連会議に参加していた若きジャーナリスト、ジョン・F・ケネディは「国家主権の全世界的な放棄」を達成するための諸国民の運動を求め、その運動は「選出された代議員が行動を起こさざるを得ないほどに強力でなければならないだろう」と語りました。求められている行動は第二次大戦後に改正された多くの欧州諸国の憲法に明記されています。それらは日本国憲法の9条に呼応し、これを補完するように思われます。 イタリア 1948年 イタリアはほかの諸国民の自由を侵害する道具としての、あるいは国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、他の諸国家との平等性という条件で、諸国家間に平和と正義を保障するであろう組織の実現に必要な国家主権の制限に合意し、この目的のために構成される国際機関を支援し推進しする(1948年1月憲法11条)。 ドイツ 1949年 ドイツ連邦共和国は立法により国家主権を国際機関に委譲できる・・・(2)共和国は、平和を維持するために、集団安全保障体制の当事国になることができ、その際、ヨーロッパおよび世界の諸国家のあいだに平和で永続する秩序を導入し保障するに足るだけの国家主権の制限に同意するであろう・・・(1949年5月23日憲法24条)。 注釈: ドイツ憲法はフランス憲法のなかの対応する法規に基づいている。1949年8月の憲法議会でドイツ憲法の条文も相互性の条件を明記すべきか否かという案件が議論された。明記することは却下された。憲法議会委員会は「われわれはドイツ国民が主導性を発揮する(他のすべての国に先んずる)ように求められるだろうことを承知しており、なおかつ、このような主導性がドイツ国民の名で発揮されたあかつきには、他の諸国家が呼応する(立法)行動によって追随するだろうと考えている」という声明を出した。 デンマーク 1953年 この憲法によってデンマーク王国の諸当局に預けられている権限を、法律によって、明確に限定された範囲内で、国際の法秩序および協力関係を推進するために他国との相互協定によって設立された国際当局に委譲することができる(1953年6月5日憲法20条)。 ノルウェー 1965年 国際の平和と安全を保障するために、あるいは国際の法と秩序および諸国家間の協力関係を推進するために、ストーティング(ノルウェー国会)はノルウェーがその加盟国でありもしくは加盟国になる国際機関に、制限された機能の範囲内で、この憲法のもとで通常はノルウェー国家当局に預けられている権限を行使する権利を有するものとする(2015年憲法93条のちに115条に移動)。 ベルギー 1971年 上述の権限の行使は国際市民法のもとにある諸機関に条約もしくは法律によって委譲できる(1971年7月29日憲法25条2項)。 ギリシャ 1975年 国家当局の有する諸権限は、重要な国益に奉仕し他国との協力関係を推進するために、協約もしくは協定によって国際的に組織された機関に委譲できる・・・ギリシャは重要な国益によって命じられ、人権および民主的統治の基盤を脅かされず、平等原理に立ち相互性の条件に基づく限りで、国家主権の行使を制限する自由を自らに与える(1975年6月7日憲法28条2項)。  ポルトガル 1976年 ポルトガルはあらゆる形態の帝国主義・植民地主義・対外侵略の廃棄を支持する。ポルトガルは、諸国民との関係に平和と正義を保障する国際秩序を創始するため、包括的で同時的で統制のとれた軍縮、政治的-軍事的ブロックの解体、集団安全保障体制の確立を支持する(1976年4月25日憲法7条2項)。 スペイン 1978年 基本法が制定されれば、それによって、憲法に由来する諸権限の行使を国際機関または国際制度に委譲する条約を締結することができる。これらの条約およびこの委譲によって資格を与えられた国際もしくは超国家的機関から発出された決議を遵守するよう保障することはコルテス・ヘネラル(スペイン国会)あるいは、場合によっては、政府の責任である(1978年12月25日憲法93条)。 オーストリア 1981年 法律によって、もしくは本憲法50条1項の規定に従って批准されなければならない国家間の条約によって、ブント[連邦]の特定の主権的諸権限は国際制度とその機関に移管することができる(1981年7月1日に改正された憲法9条2節)。 これらの憲法条項は、国家の主権的諸権限を制限することを目的とするかぎりにおいて、「9条」に呼応していることは明らかです。この関係において意義深いのはフランスの1946年10月27日憲法の次のような前書きです―「フランスは、相互性の条件のもとで、平和の組織化と防御に必要な主権の制限に同意する」。フランスの国連大使フランソワ・ドゥラットル( François Delattre)氏が次のようにわたしたちに書き送ってくれたことも驚きではありません―「お手紙にあった、SA9キャンペーンを通じてのあなたたちの平和への取り組みについて注意深く読ませていただきました」。ドゥラットル氏は次のように続けています。「重大な挑戦にさらされている多極化された世界において、あなた方のキャンペーンのような革新的な率先行動を必要とされてています」(2019年3月13日のメール)。コスタリカとインドの憲法はヨーロッパ以外での平和への取り組みの例です。 コスタリカ 1949年 立法者総会において正規の手続きに基づいて承認された公的条約、国家間協定・協約は権威において[国内] 法に優先する・・・常設的制度としての軍隊は廃棄される(1968年5月31日に改正された11月7日憲法12条)。 インド 1950年 インド共和国は(a)国際の平和と安全を推進し・・・(d)国際紛争を仲裁裁定によって解決することに尽力する(1月26日憲法51条)。 類似の条文を持つ憲法はほかにもたくさんあります。それらは或る種の規範的流れを構成し、すべて、制度としての戦争の廃棄を指し示しています。日本が先導したからこそ、他の国ぐには安んじて先例に従いました。つぎは、それ(制度としての戦争の廃棄)が実際に起こるようにさせることがわたしたちの務めです。 賛同のお返事をいただければ幸いです。                                       敬具 SA9キャンペーンを代表して クラウス・シルヒトマン






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